健康なんでも相談室

肩腱板断裂

回答者:  鳥取大学医学部附属病院整形外科助手 永井琢己

質問

<61歳、女性。5年前右肩腱板断裂で手術を受けましたが、1年後痛みが再発し再手術をしました。その後1年位は順調でしたが、再び痛くなりMRI検査をしたところ、肩の中で炎症が起きているとのことでした。

今は痛み止めの薬と、筋肉のすべりをよくする注射をしていますが痛みが取れません。何とか痛みが取れる方法はないものでしょうか。腕は普通どおりに動きます。 /p>

回答

転倒によって手をついたり、直接肩をぶつけたり、あるいは加齢による影響で腱板という肩の腱が断裂することがあります。腱板とは4つの腱(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋)より構成されており、肩関節の挙上の為に重要な役割を持っています。そのうち棘上筋という肩関節を外転(横から上げる)させる腱が最も多く断裂します。腱板が断裂すると、痛みや肩の挙上困難などの症状が出現しますが、症状の程度は様々で、疼痛がほとんどなく軽快するものから睡眠障害を伴うものまでありますので、軽症であれば五十肩として放置されることもあります。診断は症状などでおおよその見当はつきますが、MRI、超音波、関節造影などが必要となります。治療は外傷性のものでなければ、原則として保存的治療(注射や内服など)を行いますが、軽快しなければ手術的治療を勧めています。

腱板手術後での再手術例はそれほど多くありませんが、転倒などにより再断裂したり、縫合した腱板がくっつかなかったりすると再手術を行うこともあります。手術後も痛みが続くようなら、関節内への注射(関節のすべりをよくしたり、炎症を抑える薬)により局所の炎症をとる方法が用いられます。また、腱板の筋力訓練(カフエクササイズといったチューブを用いた訓練)を継続するようにお勧めします。それでも症状が軽快しないのなら、専門医による診察、精密検査が必要と思われます。